トイレが故障し、修理業者に見積もりを依頼した時、多くの人は提示された金額を前に「修理する」という一択で物事を考えがちです。しかし、その決断を下す前に、一度立ち止まって考えてほしいことがあります。それは、お使いのトイレが一体何年選手なのか、ということです。実は、トイレにも寿命があり、それを超えている場合は、高額な費用をかけて修理しても、またすぐに別の箇所が壊れるという悪循環に陥る可能性があるのです。 一般的に、陶器でできている便器本体は非常に丈夫で、ひび割れでもしない限り数十年は持つと言われています。問題となるのは、水を溜めたり流したりする役割を担うタンク内の部品や、今や多くの家庭に普及しているウォシュレットなどの電子部品です。ゴム製のパッキンやプラスチック製のフロートバルブといったタンク内の部品は、おおよそ十年が寿命の目安とされています。また、複雑な電子回路を持つウォシュレットの寿命は、一般的に七年から十年程度です。お使いのトイレがこの年数を超えている場合、それは交換を検討すべき一つのサインかもしれません。 使用年数以外にも、交換を考えるべき兆候はいくつかあります。例えば、掃除をしても黄ばみや黒ずみが全く落ちなくなった、便器の表面に細かなひび割れが見られるといった場合は、衛生面や安全面から交換が推奨されます。また、業者から提示された修理費用が五万円を超えるような高額なものであれば、新品に交換する費用と大差ない可能性もあります。さらに、最新のトイレは節水性能が劇的に向上しているため、古いトイレを使い続けるよりも、交換した方が毎月の水道代を節約でき、長期的に見て経済的になるケースも少なくありません。 トイレの故障は、単なる不運なトラブルではありません。それは、日々の生活をより快適で経済的にする、新しいトイレへと交換する絶好の機会を与えてくれたサインでもあるのです。目先の修理費用だけでなく、長期的な視点を持って、修理か交換かを見極めることが、最終的な満足につながる賢明な判断と言えるでしょう。
トイレの寿命は何年?修理か交換かの判断基準