蛇口からポタポタと滴る水音、シンクの下でいつの間にかできている小さな水たまり。こうした水漏れの初期症状に気づきながらも、「まだ少量だから大丈夫だろう」「修理を頼むとお金がかかるし」と、つい見て見ぬふりをしてしまうことはないでしょうか。しかし、その小さな油断が、後々になって修理費用とは比較にならないほど大きな損害を引き起こす可能性があることを知っておくべきです。 まず、最も直接的な損害は水道料金の高騰です。たかが数滴と侮ってはいけません。たとえ微量であっても、二十四時間三百六十五日漏れ続ければ、一ヶ月で浴槽数杯分もの水が無駄になり、水道料金の請求額が普段の数倍に跳ね上がることも珍しくありません。水漏れ修理の相場が一万円から二万円程度であることを考えれば、数ヶ月放置するだけで修理費を上回る損失が発生してしまうのです。 さらに深刻なのは、建物そのものへのダメージです。床下や壁の内部で水漏れが続くと、湿気によって木材の柱や床板が腐食し、建物の耐久性を著しく低下させます。また、湿った場所はカビやダニの温床となり、アレルギーや喘息といった健康被害を引き起こす原因にもなり得ます。マンションなどの集合住宅では、階下の部屋にまで被害が及べば、家財道具や内装の弁償といった高額な損害賠償責任を負うことにもなりかねません。 結局のところ、水漏れを放置して得をすることは一つもありません。小さな水漏れは、より大きなトラブルが起きる前の警告サインです。被害が拡大する前に専門業者に依頼することが、結果的に最も経済的な選択なのです。その際は、相場の知識を基に冷静に業者を選び、建物を、そしてご自身の財産をしっかりと守りましょう。