トイレの水が流れなくなったあの日、私の頭に最初に浮かんだのは「修理代、いくらかかるんだろう」という不安でした。少しでも費用を節約したい一心で、私は専門業者に頼る前に、まずは自力での修理を試みるという無謀な決断を下してしまったのです。インターネットで検索すれば、修理方法を紹介する動画や記事が簡単に見つかります。「これなら自分でもできるかもしれない」そんな甘い考えが、後に大きな後悔へとつながることを、この時の私は知る由もありませんでした。 まずは基本に忠実に、ホームセンターで買ってきたラバーカップを力いっぱい押し引きしました。しかし、状況は一向に改善せず、むしろゴボゴボという不気味な音と共に、便器の水位がじわじわと上がってくる始末です。焦った私は、さらに強力なワイヤー式のパイプクリーナーを投入。これを奥まで突っ込んで無理やりかき回した結果、詰まりは解消されないまま、便器の陶器に黒い傷だけが残りました。水は今にも溢れそうで、床が水浸しになる光景が目に浮かび、私の心臓は早鐘を打ち始めました。 もはやこれまでと観念し、私は震える手で地元の水道局指定工事店に電話をかけました。駆けつけてくれた作業員の方は、私の無残な試みの跡を見て苦笑いしながらも、手際よく専用の高圧ポンプを取り出しました。そして、私が一時間以上格闘してもびくともしなかった詰まりを、わずか数分でいとも簡単に解消してしまったのです。その光景を目の当たりにして、私は深く反省しました。最初から素直にプロに頼んでいれば、こんな無駄な時間と労力、そして便器に付いた傷もなかったはずです。トイレ修理は、中途半端な知識で手を出すべき聖域なのだと痛感しました。どこに頼むか迷う前に、まずは自分でやろうとしないこと。それが私の得た最大の教訓です。
トイレ修理を自分で試して大失敗した話