アパートでの新生活の始まりと終わりには、電気やガスと並んで、水道の利用開始・停止の手続きが伴います。この際、手続きだけでなく、物理的な「水道元栓」の操作が必要になる場合があることを覚えておく必要があります。まず、アパートへの入居時です。事前に管轄の水道局へ連絡し、水道の使用開始手続き(開栓)を済ませておきます。入居日当日、室内の蛇口をひねっても水が出ない場合、元栓が閉められている可能性が高いです。玄関横などのメーターボックスを開け、元栓のハンドルまたはレバーを反時計回り、あるいは配管と平行になるように操作して開けます。この時、一気に全開にするのではなく、ゆっくりと時間をかけて開けるのが重要なポイントです。急激に開けると、水道管内の圧力が急上昇し、「ウォーターハンマー現象」と呼ばれる衝撃音や振動が発生し、配管や給湯器などの設備にダメージを与える可能性があるからです。元栓を開けたら、室内の蛇口から水が正常に出るか、また、赤錆や空気を含んだ水が最初に出ることがあるため、しばらく水を流してから使用を開始しましょう。一方、退去時には、事前に水道局へ使用停止(閉栓)の連絡を入れます。退去の当日に、管理会社の指示に従って元栓を閉める作業を行います。入居時とは逆に、時計回り、あるいは配管と直角になるように操作して、確実に閉めます。ただし、物件によっては、退去時の元栓操作は不要で、水道局の作業員や管理会社の担当者が行う場合もあります。自己判断で操作する前に、必ず契約書や退去時の案内を確認し、管理会社の指示を仰ぐことがトラブルを避けるための鉄則です。特に、冬場の寒冷地では、退去時に配管の凍結を防ぐための「水抜き」という特別な作業が必要になることもあります。入居と退去における元栓の操作は、新生活のスムーズなスタートと、円満な退去のために欠かせない手続きの一つなのです。