長年、水道修理の現場を回っていると、お客様から「ペットボトルで直そうとしたのですがダメでした」というお話をよく伺います。実際、我々プロの視点から見ても、ペットボトルを用いたつまり解消術は理にかなった応急処置の一つです。ラバーカップがない状況で、夜間に不安な時間を過ごすよりは、自作の道具で試してみる価値は十分にあります。しかし、現場に到着して目にするのは、使い方が惜しいケースがほとんどです。多くの人は、ペットボトルを排水口に対して垂直に当てて、優しく上下させていますが、これでは十分な圧力の変化が起きません。ペットボトルはラバーカップのようにゴムの密閉性がありませんから、できるだけ排水口の穴にボトルの先端を深く差し込み、ボトルの側面と穴の隙間を少なくするような角度を見つけることが成功の鍵となります。また、押し込む時の力よりも、引く時の力を意識することが重要です。つまっている物を奥へ押し出すのではなく、水流の乱れによって手前に引き戻し、ほぐすイメージです。修理の現場では、お客様がペットボトルで格闘した形跡として、周りの壁や床が水浸しになっていることも珍しくありません。これは水位の調整をせずに作業を始めてしまった結果ですが、我々プロは作業を始める前の養生に最も時間をかけます。実は、ペットボトルで直るレベルのつまりは、我々の専用道具を使えばわずか数分で終わります。しかし、ご自身で試されたというその努力は、住まいを大切に思う気持ちの表れですから、我々もその経緯を尊重して丁寧に作業を進めます。たまに、ペットボトルを自作する際に切り口がギザギザになっていて、便器の表面に細かい傷をつけてしまっているケースを見かけますが、これは陶器の汚れを蓄積させる原因になるので注意が必要です。もし自分で試すなら、切り口をビニールテープで保護するなどの細かな配慮があると完璧でしょう。どんな道具を使うにせよ、仕組みを理解し、冷静に状況を判断することが修理の基本です。我々がいない間、一本のペットボトルが皆様の不安を和らげる一助となっていることは、水道屋としてもどこか誇らしい気持ちにさせてくれます。
水道業者が語るペットボトルを活用したトイレ修理の現場